
注文住宅を建てる際、間取りや外観だけでなく窓の選び方も暮らしやすさを大きく左右します。
窓は採光や通風だけでなく、断熱性や防犯性、デザイン面にも影響する重要な要素です。
開閉方法や配置の違いによって室内環境は大きく変わるため、目的に応じた窓選びが重要です。
この記事では、注文住宅で検討する窓の種類や配置の工夫、快適でおしゃれな住まいを実現するための注意点を詳しく解説します。
【この記事でわかること】 ●【開閉方法別】注文住宅で検討する窓の種類 ●【配置別】注文住宅で検討する窓の種類 ●【シーン別】注文住宅の窓を効果的に配置するコツ ● 注文住宅の窓を選ぶときの注意点 ● 窓がおしゃれな注文住宅の施工事例 |
【開閉方法別】注文住宅で検討する窓の種類

注文住宅で検討するときに選択肢として挙げられる窓の種類は、主に以下のとおりです。
- 引き違い窓
- 上げ下げ窓
- 縦・横すべり出し窓
- FIX窓(はめ殺し窓)
- ルーバー窓
窓の基本は開閉方法によって特徴が分かれます。注文住宅では採光や通風の取り入れ方に直結するため、用途に合わせて選ぶことが重要です。
引き違い窓
引き違い窓は、日本の住宅で最も一般的なスタイルだといえます。
左右にスライドして開閉できるため使いやすく、通風や採光を確保しやすい点が特徴です。また、比較的コストが抑えやすいことも採用しやすい理由です。
一方、気密性や断熱性は他の窓に比べ心もとない場合があり、冷暖房効率の低下につながることがあるでしょう。デザイン性の面でも一般的な印象を与えやすいため、外観に個性を出したい場合は工夫が必要です。
注文住宅では家の方角や用途に応じて採用すると便利で、コストを抑えたい場合にも選ばれやすい窓です。
上げ下げ窓
上げ下げ窓は上下に可動するガラス部分を動かして開閉するタイプで、欧米風のデザインに多く採用されます。上下のバランスで換気を調整でき、クラシックな外観デザインにマッチしやすい点が特徴です。
窓が半開きでも安全性が保たれやすく、子どもやペットがいる家庭でも安全に換気できます。
ただし、全開にできる開口部は限られるため、大きな通風や採光を求める場合には工夫が必要です。さらに、開閉が重く感じることや掃除の際に手間がかかる傾向にあります。
デザイン性を重視しながら、通風も確保したい注文住宅におすすめの窓といえます。
縦・横すべり出し窓
縦・横すべり出し窓は、内側や外側に押し出すように開閉する窓で、デザイン性が高くスタイリッシュな印象を与えます。
小さな面積でも効率的に通風を確保でき、雨の日でも換気がしやすい窓だといえるでしょう。
また、気密性や断熱性にも優れているのも大きな特徴です。
ただし、外側に張り出す構造のため、隣接するスペースによっては開閉に制約が生じることがあります。さらに、カーテンや家具の配置と干渉しやすい点にも注意が必要です。
デザイン的にも外観にアクセントを加えられるため、モダンな注文住宅に好まれる傾向があります。通風と見た目を両立させたい場合におすすめの窓です。
FIX窓(はめ殺し窓)
FIX窓は開閉できない固定式の窓で、採光や眺望を目的として設置されます。大きなガラス面を使えるため開放感があり、外観デザインのアクセントとしても使われます。
気密性や断熱性が高く、デザイン性の高い住宅に多用されるケースも少なくありません。
一方で、開閉ができないため換気には利用できず、設置場所によっては使い勝手が限定されます。また、汚れが付いた場合は掃除が難しいため、工夫が必要です。
景観を重視した設計に適した窓といえます。
ルーバー窓
ルーバー窓は、細いガラスを羽根のように組み合わせ、角度を調整して換気ができる窓です。
浴室やトイレ、洗面室などのプライバシーを確保したい空間に使われることが多いのが特徴です。少しだけ開けて外気を取り込めるため、雨の日でも換気がしやすくなっています。
ただし、防犯性や気密性は低くなるため、設置場所には注意が必要です。湿気対策や小さな換気窓として注文住宅に取り入れると暮らしが快適になります。
【配置別】注文住宅で検討する窓の種類

ここでは、注文住宅で検討する窓の種類を配置別に紹介します。
- 地窓
- 高窓
- 天窓
- スリット窓
- 掃き出し窓
窓は配置によって得られる効果が変わり、室内の快適性を大きく左右します。
配置の工夫によって、採光・風通し・眺望・防犯性など多面的なメリットが得られるため、設計段階で意図を持って選ぶことが重要です。
地窓
地窓は床に近い位置に設ける小さな窓で、座った姿勢や低い視線から庭や外の景色を楽しめます。
プライバシーを確保しやすく、外からの視線を遮りながら自然光を取り入れられる点が特徴です。
ただし、採光量は限定的なため、部屋全体を明るくするには他の窓との併用が必要になります。防犯や掃除にも注意が必要で、外壁近くに設置する場合は安全性を考慮することが重要です。
外観デザインのアクセントとしても活用できます。
高窓
高窓は天井付近に設置される窓で、外からの視線を避けながら部屋全体に自然光を取り入れられる点が特徴です。プライバシーを保ちつつ採光性を高めたい住宅に適しており、風の流れを工夫すれば通風効果も得られます。
一方、設置位置が高いため開閉や掃除がしにくく、日常的なメンテナンスに配慮が必要です。
シンプルかつモダンな外観のアクセントにもなり、デザイン性と機能性を兼ね備えた窓として人気があります。
天窓
屋根に設ける天窓は、自然光を効率的に取り入れられる点が大きな魅力です。
日中は照明に頼らず明るさを確保でき、吹き抜けや勾配天井との相性も良好です。夜は星空を眺める楽しみも加わり、空間に特別感を与えてくれるでしょう。
ただし、直射日光による温度上昇や結露のリスクがあるため、断熱・防水性能を考慮した設計が重要です。
さらに、開閉や清掃が難しいため、位置や素材の選定に工夫も必要になるでしょう。天窓は、光と風を効率的に取り込み、快適な住空間を実現する窓として人気があります。
スリット窓
細長い形状が特徴のスリット窓は、デザイン性を高めながら採光や通風を確保できる点が魅力です。採光や通風を確保しつつ、視線を調整できるためプライバシーの確保にも役立ちます。
一方、窓自体が小さい傾向にあり、単体では十分な採光を確保できない場合もあるでしょう。
ただし、配置や組み合わせを工夫すれば光の入り方に変化を付けられ、デザイン性と機能性を両立可能です。一般的に、モダン住宅のアクセントとして採用されることが多い窓です。
掃き出し窓
掃き出し窓は、床から天井近くまで大きく設けられた窓で、庭やバルコニーへの出入りしやすい点が特徴です。
リビングに設置すれば室内外の一体感が高まり、開放的な空間を演出できます。採光性にも優れ、日中は自然光で明るい暮らしが可能です。
一方、外からの視線が入りやすく防犯対策が必要なことや、断熱性能が下がりやすい面もあります。また、強い日差しにはカーテンやブラインドでの調整が求められるでしょう。
【シーン別】注文住宅の窓を効果的に配置するコツ

ここでは、注文住宅の窓を効果的に配置するコツを、以下のシーン別で紹介します。
- 風通しを重視したい場合
- 採光を重視したい場合
- プライバシーを重視したい場合
- 眺望を重視したい場合
窓はただ光や風を取り入れるだけでなく、暮らし方に合わせて効果的に配置することが大切です。目的を明確にして配置を工夫することで、より快適で居心地の良い住まいが実現できます。
風通しを重視したい場合
風通しを考える際は、入口と出口を意識した窓の配置が重要です。南北や東西の両側に窓を設けると、自然な通風が生まれ、室内の空気が循環しやすくなります。
また、高窓と地窓を組み合わせることで上下の温度差を利用できるため、効率的に熱や湿気を逃がすことが可能です。
さらに、開閉のしやすさや安全性も忘れてはならないポイントです。
日常的に使いやすい位置や大きさを選ぶことで、快適な住環境づくりにつながります。
採光を重視したい場合
明るさを重視するなら、日照時間の長い南向きに大きな窓を配置するのが基本です。
吹き抜けに高窓を設ければ、光が室内の奥まで届き全体を均一に明るく保てます。さらに、天窓やスリット窓を組み合わせることで、採光とデザイン性を同時に叶えられる点も魅力です。
ただし、直射日光が差し込みすぎると夏場の温度上昇や家具の色褪せにつながるため、庇や遮熱ガラス、シェードなどを活用し、光をコントロールする工夫が重要になります。
快適で明るい住まいをつくるには、採光と温熱環境のバランスを意識した設計が重要です。
プライバシーを重視したい場合
人目が気になる場所では、外からの視線を遮りつつ光や風を取り入れられる窓の工夫が必要です。
たとえば地窓や高窓を設ければ、プライバシーを守りながら採光や通風を確保できます。スリット窓も細長い形状を活かして視線をずらせるため、浴室やトイレなどに適しています。
さらに、すりガラスやブラインドを組み合わせれば安心感を高めつつ、機能性との両立も可能です。窓の大きさや配置を工夫することで、快適で落ち着きのある住空間を実現できます。
眺望を重視したい場合
景色を楽しみたい場合は、大きなFIX窓や掃き出し窓を活用するのがおすすめです。
リビングやダイニングに設ければ、外の景観がインテリアの一部となり、開放感を高められます。窓を額縁のように配置する「ピクチャーウィンドウ」は、四季の移ろいを感じられるデザインとして人気です。
ただし、直射日光や外気の影響を受けやすいため、断熱性や遮熱性の高いガラスを選ぶことが快適性の維持につながります。
注文住宅の窓を選ぶときの注意点

ここでは、注文住宅の窓を選ぶときの注意点として以下を解説します。
- 見た目と機能性のバランスを意識する
- 気密性・断熱性を意識する
- 家具・家電の配置を意識する
見た目と機能性のバランスを意識する
窓は住まいの印象を決める要素であると同時に、採光や通風などの機能も担います。
外観デザインに合わせて選ぶのは大切ですが、デザインを優先しすぎると暮らしにくさにつながることもあるでしょう。
たとえば、大きな窓は開放感を生む一方、断熱性や防犯性に課題が残りがちです。
目的に応じて、デザインと機能をバランスよく取り入れることが、長く快適に暮らせる住まいづくりの基本となります。
気密性・断熱性を意識する
窓は外気と接する面積が広く、住宅の断熱性能に大きな影響を及ぼす部分です。気密性や断熱性が低い窓は、夏は暑く冬は寒いといった快適性の低下を招く原因になるでしょう。
複層ガラスや樹脂サッシを採用すれば、冷暖房効率が高まり光熱費の削減にもつながります。
窓の大きさや位置も影響するため、設計段階から住まい全体の断熱計画とあわせて検討することが大切です。
家具・家電の配置を意識する
窓の位置は家具や家電の配置にも直結するため、生活動線を考慮しながら計画する必要があります。
たとえば、大きな窓を設けた場所にソファやテレビを置くと、日差しや反射の影響で使いづらくなる場合があります。また、収納や冷蔵庫の配置と干渉しないよう注意が必要です。
採光や通風を確保しつつ、日常生活に支障をきたさないレイアウトを心がけることが快適な暮らしにつながります。
窓がおしゃれな注文住宅の施工事例

ここでは、翼創建(thinks)が実現した窓がおしゃれな注文住宅の施工事例を2つ紹介します。
- 自然と調和するシンプルモダンな家
- 眺望をデザインするピクチャーウィンドウのある家
自然と調和するシンプルモダンな家

※出典:【軽井沢町】自然と調和する癒しの暮らし|施工事例 | thinks 翼創建 – 群馬・栃木のデザイン住宅・注文住宅
軽井沢の豊かな自然に包まれた、別荘の施工事例です。
施主様の「第二の暮らし」を形にした住まいは、窓が自然と調和する癒しの空間を演出します。大きな窓からは季節の移ろいが感じられ、日常の中に心地よい変化を取り込んでくれます。
内装は木の温もりを感じるシンプルモダンなデザインで統一し、機能性と美しさを両立させた設計が特徴です。
窓は採光や換気といった基本的な役割にとどまらず、暮らしを自然と結びつける設計の中心となっています。このお住まいの窓は、単なる採光や換気の機能だけでなく、家のコンセプトである「自然との調和」を実現するための役割を果たしています。
設計の工夫や空間の心地よさは、以下の動画でもご覧いただけます。
眺望をデザインするピクチャーウィンドウのある家

※出典:公園の木々を空間に取り込むピクチャーウィンドウのある家【前橋市】|thinks 翼創建 – 群馬・栃木のデザイン住宅・注文住宅
公園の緑を室内に取り込む、「ピクチャーウィンドウ」が特徴的な住まいです。
窓が額縁のように外の景色を切り取り、室内にいながら四季の移ろいや自然を身近に感じられる癒しの空間を創出しています。
また、無機質な素材感のキッチンや、ウォークインクローゼットへと繋がる効率的な家事動線など、デザイン性と機能性を両立させている点も大きな魅力です。
最大の特徴は、公園の緑を室内の「絵画」へと変えるピクチャーウィンドウです。窓を巧みに配置することで外からの視線を遮りつつ、四季折々の美しい景色を室内に取り込んでいます。
窓が空間全体に開放感と奥行きをもたらし、心から安らげる癒しの時間を提供しています。
設計の工夫や空間の心地よさは、以下の動画でもご覧いただけます。
注文住宅の窓は目的にあった配置決めが重要

注文住宅の窓設計は、機能性とデザイン性を両立させるための大切な工程です。
採光・通風・眺望・プライバシーといった目的を明確にしたうえで、それぞれに合った窓の種類と位置を検討することが重要です。外観デザインや間取りとのバランスも考慮しなければ、暮らしに不便を感じる原因になるでしょう。
短期的な見た目ではなく、長く住み続けることを意識した計画が理想の住まいを実現するためのポイントです。