
注文住宅は、自分たちのライフスタイルに合った家づくりができるのが大きな魅力です。自由に設計できるからこそ、「間取りをどう決めたらいいのかわからない」と悩む人も少なくありません。
この記事では、注文住宅の間取りを決めるときの流れや考え方、チェックしておきたいポイント、などをわかりやすく解説します。人気の間取り実例もあわせて紹介しているので、これから家づくりを始める人は、ぜひ参考にしてください。
【この記事でわかること】 ●注文住宅の間取りの全体的な決め方4ステップ ●注文住宅の間取りの具体的な決め方 ●注文住宅の間取りを決めるときのチェックポイント ●注文住宅の間取り決めで後悔しないコツ ●【実例】注文住宅の間取りの成功例をご紹介 |
注文住宅の間取りの全体的な決め方4ステップ

注文住宅の間取りを考えるとき、いきなり詳細な設計に入るのではなく、まずは全体の流れをつかんでおくことが大切です。
ここでは、初心者でも進めやすい4つのステップに分けてご紹介します。
- STEP1.施工事例を確認してイメージする
- STEP2.住宅展示場(モデルハウス)で実物を見学する
- STEP3.ビルダーに相談する
- STEP4.自分が納得するまで間取りプランを決める
STEP1.施工事例を確認してイメージする
はじめに行いたいのが、施工事例や間取り図を見て「自分たちがどんな家に住みたいか」を具体的にイメージすることです。
施工会社のカタログやWebサイト、SNSで人気の間取り事例などをチェックし、「こんな暮らし方をしたい」「この収納は便利そう」など、気になるポイントをメモしておくと、後の打ち合わせにも役立つでしょう。
STEP2.住宅展示場(モデルハウス)で実物を見学する
ある程度イメージが固まったら、住宅展示場やモデルハウスに足を運んでみましょう。
図面や写真だけではわかりづらい広さや動線、天井の高さなどを体感することができます。複数の住宅会社を見て回ることで、自分たちに合った間取りの方向性も見えてきます。
STEP3.ビルダーに相談する
希望のイメージがある程度まとまったら、住宅会社(ビルダー)に相談してみましょう。
敷地の条件や予算、家族構成に合わせて、プロならではの視点で具体的な間取り案を提案してくれます。気になる点や不安なことは、遠慮せずにしっかり伝えるのがポイントです。
STEP4.自分が納得するまで間取りプランを決める
間取りは、一度決めたら簡単には変更できません。「本当に暮らしやすいか」「将来のライフスタイルにも合っているか」などを何度でも見直して、納得のいくプランに仕上げましょう。
細かい部分の調整や変更も、遠慮せずに相談することが後悔しない家づくりにつながります。
注文住宅の間取りの具体的な決め方

全体の流れを把握したら、次は間取りの具体的な要素を1つずつ決めていく段階です。ここでは「手順」ではなく、設計上の基本方針ともいえる3つのポイントに注目して紹介します。
- 部屋数を決める
- 建物の階数を決める
- 部屋の配置を決める
部屋数を決める
まず考えるべきは「どのような部屋がいくつ必要か」という点です。寝室や子ども部屋のほか、将来の使い方も見据えてゲストルームや在宅ワーク用の書斎を検討する方も増えています。
家族構成やライフスタイルをふまえ、長期的に利便性のある部屋数を考えましょう。
建物の階数を決める
平屋にするか2階建てにするかも、暮らし方を左右する大きなポイントです。ワンフロアで生活が完結する平屋はバリアフリー性に優れていますが、敷地に余裕が必要です。
一方、2階建ては限られた土地を有効活用でき、プライベート空間も分けやすくなります。土地条件や家族の希望をもとに、最適な建物構成を考えてみてください。
部屋の配置を決める
部屋数と階数が決まったら、それぞれの部屋をどこに配置するかを検討します。
玄関からリビングへの動線、洗面と寝室の距離、日当たりや風通しなども意識して配置を考えることが大切です。
特にリビングや水回りの位置は生活のしやすさに直結するため、実際の生活をイメージしながら配置を決めていきましょう。
注文住宅の間取りを決めるときのチェックポイント

間取りの大枠が固まったら、より具体的な視点で見直すことが大切です。
暮らしやすい住まいを実現するには、実際の生活をイメージしながら細かな要素まで確認しておきましょう。ここでは、特に意識しておきたい7つのチェックポイントをご紹介します。
- 生活動線
- 採光・風通し
- 生活音
- 外観
- 収納スペース・収納量
- 家具・家電の配置
- コンセントの数・位置
- 安全性・利便性
生活動線
毎日の家事や移動がスムーズかどうかは、生活の快適さを左右します。
たとえば、洗濯機から干し場・収納までの動線や、玄関からキッチンへの買い物動線など、具体的な動きを想定しながら間取りを見直しましょう。
採光・風通し
自然光の入り方や、風の通り道も重要なポイントです。
南向きの窓や吹き抜け、通風を確保できる窓の配置などを工夫することで、明るく心地よい室内環境を実現できます。隣家との距離や方角も考慮に入れるとよいでしょう。
生活音
快適な生活には音への配慮も欠かせません。
たとえば、トイレの隣が寝室だったり、子ども部屋の真上に水回りがあると、生活音が気になる原因になります。部屋の配置や防音対策も検討しておくと安心です。
外観
間取りによって、建物の形状や外観の印象も大きく変わります。
凹凸のある間取りは個性的な外観を演出できますが、その分コストがかさむこともあるでしょう。性能・デザイン・予算のバランスを考えて検討するのがポイントです。
収納スペース・収納量
「実際に住んでみたら足りなくなった」と後悔しやすいのが収納です。
各部屋に必要な収納があるか、まとめて大きな収納を設けた方が効率的かなど、使い方に合わせて計画しましょう。パントリーや土間収納も人気です。
家具・家電の配置
ソファやベッド、冷蔵庫など、あらかじめ置きたい家具・家電のサイズを想定して配置を考えると、暮らし始めてからの後悔を防げます。
動線やコンセントの位置との兼ね合いも、忘れずに確認することが重要です。
コンセントの数・位置
スマホの充電や家電の使用など、現代の生活ではコンセントの配置が非常に重要です。
設置場所や高さ、数が足りているかをしっかりチェックしましょう。玄関やクローゼット内に設けておくと便利です。
安全性・利便性
小さなお子さんや将来の高齢期まで考えると、安全面にも配慮したいところです。
階段の手すりや段差の少ない床、廊下の幅など、バリアフリー性も含めてチェックしておくと長く快適に暮らせます。
注文住宅の間取り決めで後悔しないコツ

理想の住まいをかたちにするには、見た目や広さだけでなく「暮らしやすさ」に注目することが大切です。
ここでは、間取りで後悔しないために押さえておきたい3つのポイントを解説します。
- 希望条件に優先順位を付ける
- 実際の暮らしをシミュレーションしてみる
- ライフスタイルにあった間取りを意識する
希望条件に優先順位を付ける
注文住宅では、すべての要望を詰め込もうとすると予算やスペースの制約でバランスが崩れがちです。後から「無理して詰め込むべきじゃなかった」とならないように、希望の条件にはあらかじめ優先順位をつけましょう。
「日当たりの良いリビングが最優先」「収納は後から増設でも問題ない」など、ご家族で話し合いながら妥協点とこだわりポイントを整理しておくと、打ち合わせがスムーズになります。
実際の暮らしをシミュレーションしてみる
図面だけで気付きにくいのが、実際の暮らしとのギャップです。朝の身支度、洗濯や掃除、買い物帰りの動線など、日常の行動をイメージして間取りを見直してみましょう。
「洗濯機から干し場までが遠い」「玄関からキッチンが遠くて買い物が不便」など、生活の中で不便を感じる動線がないか確認しておくことで、暮らしやすさの精度が高まります。
ライフスタイルにあった間取りを意識する
今の生活だけでなく、将来の変化にも対応できる間取りを意識することもポイントです。たとえば、お子さまの成長や独立、在宅勤務の増加、親との同居など、ライフスタイルは年月とともに変わっていきます。
フレキシブルに仕切れる空間や、将来ワークスペースに転用できる一角を設けるなど、柔軟性のある間取りにしておくと安心です。無理に今の理想だけを詰め込まず、10年後・20年後を見据えて検討してみましょう。
【実例】注文住宅の間取りの成功例をご紹介

※出典:ほぼ平屋の家【みどり市】 | 施工事例 | thinks 翼創建
ご紹介するのは、群馬県みどり市に建てられた「ほぼ平屋の家」。
ご夫婦の「暮らしやすさ」と「デザイン性」を両立したいという希望をもとに、子ども部屋だけを2階に設けることで、平屋に近い快適な間取りが実現しました。
外観は水平ラインを意識した落ち着いたデザインで、ナチュラルな木目のフェンスとやわらかいベージュの外壁が周囲の街並みにも自然に馴染みます。
室内は、使い勝手を考慮した動線や収納計画はもちろん、あたたかみのある間接照明ややさしいトーンの内装が印象的。昼は自然光、夜は照明の演出で、時間帯ごとに異なる表情を楽しめるくつろぎの空間に仕上がっています。
「シンプルな暮らしを楽しみたい」「将来を見据えて暮らしやすさを重視したい」と考える方にとって、間取りや設計の参考になる一邸です。
注文住宅の間取り決めで失敗しないためには

注文住宅の間取りを決める際は、見た目や広さだけでなく、実際の暮らしを具体的にイメージすることが大切です。
事例を見ながら家族で意見を出し合い、展示場で実物を確認し、プロの提案をもとに納得いくまで調整する。この一連の流れを丁寧に踏むことで、後悔のない住まいに近づけます。
また、動線や採光、収納の配置といったチェックポイントも忘れず確認し、今だけでなく将来の暮らしまで見据えた間取りを検討しましょう。
間取りづくりに正解はありませんが、「何を大切にしたいか」を明確にして、暮らしやすさと心地よさを両立させた住まいを目指すことが、失敗しないためのコツです。