建築会社がメリット・デメリットを整理して考える住まいの話
【建築会社として最初にお伝えしたいこと】
中庭のある住宅は、採光・通風・プライバシーといった課題を同時に解決できる手法として、建築の世界では古くから用いられてきました。一方で近年は、デザイン性やイメージが先行し、完成後に「思っていたほど使わなかった」「管理が想像以上に大変だった」と感じるケースも増えています。
私たちは設計から施工までを担う建築会社として、中庭が有効に機能した住まいも、
そうでなかった住まいも数多く見てきました。その経験から言えるのは、中庭は“良い・悪い”で判断するものではなく、条件次第で評価が大きく変わる建築要素だということです。
この記事では、中庭のメリットとデメリットを建築的な視点で整理しながら、
「中庭は本当に必要なのか?」を一緒に考えていきます。
中庭のメリット|建築的に評価される理由
① 採光とプライバシーを同時に確保できる
住宅密集地では、南側に十分な開口を取れない敷地も少なくありません。
中庭を設けることで、「周囲の視線を遮りながら家の中心に安定した光を取り込む」
といった計画が可能になります。これは中庭ならではの、非常に建築的なメリットです。

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② 内と外の中間領域をつくれる
中庭は、完全な屋外でも室内でもない、曖昧な「余白」のような存在です。
- 子どもが遊ぶ
- 洗濯物を干す
- 椅子を出してくつろぐ
用途を決めすぎないことで、暮らしの変化に対応できる空間になります。

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③ 間取りに視線の抜けと一体感が生まれる
リビング・ダイニング・廊下などが中庭を介してつながることで、家全体に奥行きと広がりが生まれます。これは図面だけでは伝わりにくい、実際に住んで初めて実感する良さです。
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中庭のデメリット|後悔につながりやすいポイント
① 建築コストが上がりやすい
中庭は、
- 外壁面が増える
- 開口部が増える
- 排水計画が必要になる
といった理由から、同じ床面積でもコストが上がりやすい傾向があります。
初期費用だけでなく、将来のメンテナンスまで含めて検討する必要があります。
② 維持管理の手間がかかる
中庭は屋外空間です。雑草や落ち葉、雨水や汚れを完全に避けることはできません。
「眺めるだけ」のつもりでも、手をかける前提の空間であることを理解しておく必要があります。
③ 使われなくなる可能性がある
完成当初は気に入っていても、数年後にほとんど使われなくなる中庭もあります。
原因として多いのは、
- 動線上にない
- リビングから距離がある
- 使い方を想定していなかった
といった、計画段階での整理不足です。
中庭が向いている家・向いていない家
中庭が向いているケース
- 周囲からの視線を強く遮りたい
- 採光条件が厳しい敷地
- 家の中心に外部空間を取り込みたい
中庭が向いていないケース
- 敷地に余裕があり外庭が取れる
- メンテナンスを最小限にしたい
- 建築コストを抑えたい
どちらが正解という話ではありません。敷地条件と暮らし方の相性がすべてです。
建築会社として大切にしている考え方
私たちは、中庭を「デザインとして入れるかどうか」ではなく、
- なぜ中庭なのか
- 他の方法では代替できないのか
- 将来まで無理のない計画か
という視点で検討します。
結果として、中庭を採用しない方が良いという判断になることもあります。
それは失敗ではなく、建築として自然な選択です。
まとめ|中庭は“暮らしを整えるための、有効な選択肢”
中庭は、住まいの中に光や風、余白をもたらしてくれる空間です。
計画の仕方次第では、日々の暮らしに心地よさと豊かさを与えてくれます。
一方で、その効果を十分に引き出すためには、
暮らし方や敷地条件、建物全体のバランスを丁寧に読み取ることが欠かせません。
・外からの視線を抑えながら、自然光を取り入れたい
・室内にいながら、外の気配を感じたい
・家族が自然と集まる場所をつくりたい
こうした想いがある場合、中庭は非常に相性の良い選択肢になります。
私たちは建築会社として、
- どんな暮らしをしたいのか
- その敷地にどんな可能性があるのか
- 中庭以外の方法も含めて、最適な形は何か
これらを整理した上で、
中庭が暮らしをより良くすると判断できたときに、積極的にご提案しています。
中庭は、特別な人のためのものではありません。
正しく計画すれば、日常に自然と馴染み、
住まいの価値を静かに高めてくれる存在になります。
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